悩ましの引用文献


通信制の大学(大学院)で修了後でもゼミ仲間との関係が続いているのは珍しいケースだと思うが、我がゼミはそのひとつである。居住地域が全国に散らばっているため連絡はもっぱらメーリングリストを使っているが、現役生はもちろんOBもそのまま留まっていて、サポート役を果たしている。
そのゼミでは年に1回、機関誌を発行している。修了生の論文要約もしくはゼミ内からの新しい論文を掲載しているのだ。今年はその2巻目にあたる。


私は3月に修了しているのでこの機関誌に要約を載せなくてはならない。その為に編集委員が校正を手伝ってくれるのだが自分の論文に誤字があったり言い回しがヘンだったりするのを今になって気づき、冷や汗たら〜りである。(ちなみに評価Aをもらっているのですが(笑))
しかも一番の難関は引用文献の書き方。これについては現役の頃にもゼミ生同士で議論があったのだが、大学側としては参考程度の書き方しか示されず、指導教員の指示に従うようにとのお達しのみであったため、おおまかな書き方については自分で勉強したが細かい点についてはうるさく言われることはなかった。


今回の機関誌の為に編集員の方々が骨を折っておられるのはこの点である。つまり引用文献の書き方が各自バラバラなのだ。
通常、引用文献の書き方についてはいくつかのスタイルが存在し、分野・学派・指導教員によってどのスタイルを採用するかが異なる。つまり学術論文は「必ずこの書き方で書かなくてはならない」というものではない。
今後は機関誌発行の際のことを考えてゼミとして統一的な指針を提示しておく必要があると今回ひしひしと感じ、また現役の頃にそのようなものが存在していたらと思う。


いや、それ以前に私の論文、ヤバイなぁ。修了生の論文は数年間は大学の図書館で閲覧できるようになっているのだから…


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引用文献リストの書き方について検索してきてくれている方がいらっしゃると思うので、自分のメモも兼ねてまとめておきます。


引用文献リストのスタイル
引用文献リストのスタイルは海外の標準的なスタイルのほか、投稿先で指定されたスタイルなどがありますが、国内で標準的なものは存在せず、分野によりまちまちです。その為、指導教官の指示もしくは投稿規程などを熟知する必要がありますが、まず代表的なスタイルの種類と参考先を挙げておきます。


American Economic Review (AER)スタイル http://www.aeaweb.org/aer/styleguide.html


Vancouver Style バンクーバースタイル ICMJE | Home


シカゴスタイル http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0226104036/qid=1132447083/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-6705703-5442600
(今のところオンラインソースが存在していない?)


MLAスタイル http://www.mla.org/style/style_index.htmac.jp/vuniv.html



具体例
これは一例です。必ず指導員もしくは投稿規程に従ってください。


・基本的には 著者名(出版年)『書名』出版社、開始ページ-終了ページ


・著者名が複数いるときは・で区切る
・日本語著者名の姓と名の間にスペースを置くか置かないかは統一する
・引用ページが1ページのときは p. ページ名、複数にまたがるときは pp. 開始ページ-終了ページ、また p. pp. のあとは半角空ける
・図書の書名をサブタイトルまで記述するかしないかは、特殊な例外を除いて、統一する


例)
川上喜郎・川浦康至・池田謙一・古川良治(1993)『電子ネットワーキングの社会心理』誠信書房、pp. 32-34
川浦康至(1994)「匿名社会と人間関係」『こころの科学』58、pp. 2-6


・翻訳書の場合、著者名は姓・名のようにする、イニシャルは半角にする
・翻訳書についていちいち原書を記述する必要は無い
・氏名と役割表示の間はスペースを空けない


例)
タークル、シェリー著、日暮雅通訳(1998)『接続された心』早川書房、pp. 349-368
ジョインソン、A.N.著、三浦麻子・畦地真太郎・田中敦訳(2004)『インターネットにおける行動と心理』北大路書房、p. 26, pp. 36-37


・上下本や多巻本で各巻が固有のタイトルを持たない場合、特定の巻だけ1巻単位で引用するのはあまり好ましくないが、もしもそうする場合、巻冊次は書名の一部としてではなく、書名の外に記述するのが望ましい


例)
メイロウィッツ、ジョシュア著、安川一・高山啓子・上谷香陽訳(2003)『場所感の喪失』上巻、新潮社


・団体が編者となっている場合、その団体の一員として編著に当たったものがリストアップされていても編著者としては記述しない。また、編者であれば役割
表示「編」を付ける


例)
是永論(1996)「情報化と日常生活」東京大学社会情報研究所編『情報行動と地域情報システム』東京大学出版会、p. 88


・雑誌の特集記事タイトルは記述しない
・雑誌の出版社は記述しない


例)
北山聡(1998)「つなぐ」『現代のエスプリ』370、pp. 147-157
(この誌名は実際は『現代のエスプリ インターネット社会』となっている)


・電子辞書からの引用は、引用元が電子辞書である旨とメーカー名を記述する


例)
広辞苑』第五版 [電子辞書]、カシオ


・引用文献がPDFの場合はその旨を記述する


例)
加藤尚吾・赤堀侃司(2004)『電子掲示板でのコミュニケーションにおいて過去の書き込みが参加者に与える影響』[PDF]


・引用文献がwebの場合はurlとアクセス日を記述する


例)
@cosmehttp://www.cosme.net/ (2005.10.17存在確認)
2ちゃんねるhttp://www.2ch.net/ (2005.10.17存在確認)