IT世代のテレビ観

rubbylove2005-10-27



「どうして買ってはいけないのか僕には分からない」
-TBS株取得で楽天三木谷社長


「どうして(TBS株を)買ってはいけないのか僕には分からない」。経営統合の提案を進めている最中に東京放送(TBS)株を買い増した楽天が、記者会見を行い、代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏がコメントした。
楽天が15.46%のTBS株を取得してから、TBSから楽天に「『買い増ししないで』との申し出があったが、『それは受け入れられない』と回答した」と代表取締役副社長執行役員の國重惇史氏が明らかにした。そのうえで、TBS株の取得は「市場性のあるものなので、交渉の進展には関係ない。(経営統合が)成就するなら、株の買い増しはTBSにとってもプラスになる」(三木谷氏)とし、正当な行為であると主張した。
(RBB TODAY) - 10月26日


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私はぶっちゃけ株や企業買収のことはよくわからない。だったら書くなと言われそうだけど(笑)
金で公共放送を買うことについての是非はおいておいて、ここでふと疑問が沸く。何故IT企業がこれを破ろうとしているのか。それはテレビに対する思い入れがテレビを育てた世代とインターネットを育てた世代とで異なるからなのだと考えられる。
(注:考えを書いただけなので科学的根拠はありません。レポートの参考にしないようにね。)


日本で始めてNHK放送が始まったのは1953年(昭和28年)、これが日本発のテレビ放送である。半年ほど遅れた同じ年、日本テレビ放送網が民放で初の本放送を開始した。
一方、IT関連企業は1990年代に入ってから急成長し、企業としては比較的若く、またその経営陣だけでなく社員も若いのが特徴である。
三木谷氏は1965年生まれ、堀江氏は1972年生まれ、当然彼らの子供時代に既にテレビは存在していた。1970年から1972年にはカラーテレビの契約数が増えているから子供時代からカラーテレビを見ていた世代だ。俗にテレビっ子世代でテレビによって育まれこそすれども、テレビを育み・創生した世代ではないが故に、そは消費するものであって、それ以外の思い入れがない。
しかし、インターネットは自分たちや自分たちと同じ世代が作り上げたという愛着がある。インターネットの原型は1969年頃に誕生しているから、インターネットと彼らはほぼ同世代だが、この急激な成長は自分たちが作り上げた世界という愛着があるのである。そして彼らの予想通り、インターネットによる各種の消費行動は驚くべきスピードで進化している。
彼らとってテレビは聖域にあらず、その上経済観や社会観もテレビを作り上げた世代とは異なる。そういう人たちがインターネットを更に成長させるべくエネルギー源としてテレビを買おうと思うのは当然の成り行きなのではないか。


何故テレビはこれまでにIT企業を買収しなかったのか。株を買い占められるという危機感がなかったのか、ITという若い世代を甘く見ていたのかわからないが、メディアの変化をいち早くキャッチしてテレビの側からIT企業を動かすことだって出来たのではないか。少なくともテレビは旧世代の体質のままここまできてしまった。
インターネットはコミュニケーションツールであり、共有資源であり、公共電波であるという総合メディアとしてのポテンシャルを持ち合わせている。いくらデジタルの手を借りてもテレビには限界があるのだ。テレビは既にインターネットから多くの素材を得て利用している。テレビがインターネットに食われるのは早かれ遅かれ時間の問題と考えられる。


個人的に言えば、テレビがなくてもたいして困らないが、インターネットがなくなると困る。まず仕事ができない。テレビで調べ物は出来ない。このブログのように不特定多数の人に(継続的に)考えや気持ちを発表することはテレビでは出来ない。私もIT世代なのである。
ただ彼らと違うのは金で買えないものもあるということを知っていること。いや、そもそもそんな金は持ち合わせていない(笑)