日本のバリアフリー化の現状


旅客施設の半数で段差解消 バリアフリー国交省集計


鉄道駅や空港など1日の利用者が5000人を超える旅客施設(計2832)のうち、高齢者や障害者に利用しやすくするため、エレベーターやスロープなど段差を解消する設備を整えたのは、2004年度末で前年度比5・0ポイント増の49・1%(計1390)に達したことが国土交通省の集計で7日、分かった。
同省は2000年に施行された交通バリアフリー法に基づき、10年度末までに利用者が5000人を超えるすべての旅客施設で、段差解消のための設備のほか身体障害者用トイレ、視覚障害者誘導用ブロックを整備する目標を掲げている。
共同通信) - 11月7日


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こういうニュースを読んで「あ〜、よかったね」と思う当事者はそれほど多くないかもしれない。
何故なら、利用者の多い大きな施設に行くまでの道のりこそに困難があるからである。大きな施設にはそれなりに人が大勢いるため、手助けを求めることは小さな施設に比べ困難ではない。しかし小さな施設では係員も利用者も少なく手助けを求めようにも求められない。結局大きな施設を利用したくてもそこにまでたどり着けない仕組みになっているのである。
また交通機関もしかり。バスはまだ利用しにくいし、そもそもバス停に行くまでの道のりに段差や狭いために通れない道などのバリアがあるのだ。


かなり以前、似たような話をしたときに「でもいっぺんには出来ないから、出来るところからね」という反応をいただいた。多少なりとも福祉に関心のある方だと思っていただけに「ああ、日本のバリアフリーへの理解はこの程度なのか」と正直なところちょっとがっかりした。
考えてみてください、結果として使えない設備を作ってもらってもどうしようもないんです。
ではそのバリアを補佐する人的システムがあるかといえば、日本にはそのシステムがないといっても過言ではない。


確かに市場の論理では数の多いほうが優先される。けれど福祉に関してはむしろ逆ではないかと思う。いっぺんに直せとは言わない、けれど本当に困っている人のことを考えるなら末端からなのだ。