害虫退治

わたしは害虫退治ができない。
ゴキブリやハエを見ればキャーキャー言うし、クモを発見したときなどは身体がフリーズしてしまう。
情け容赦なく退治してしまう母に、殺さないで外に出すようにいうのだけれど、「お釈迦様みたいに言うけど、あんただってキャーキャー言うでしょ」と言ってさっさと退治してしまう。

生き物を殺傷するのがイヤなのだ。それは害虫と呼ばれる虫たちであってもだ。彼らは人間にとって都合の悪い生き物かもしれないし、気持ち悪かったりもする。でも彼らもその瞬間に何か楽しいことを考えているかもしれないのだ。これから殺されようとしていることも知らず彼らは一生懸命生きているのだ。
故に、最近は野に咲く花でさえ摘み取ることができない。
やむを得ず虫を殺さなくてはならなかったり、花を踏んだり摘んでしまった場合は「ごめんね」と囁いてしまう。

もしジャングルに放り込まれたらきっとサバイバルできないんだろうなと思う。相手の命を奪うくらいなら飢え死にしたほうがいいかも、なんて思ってしまうかもしれない。
しかし今日も「ポークジンジャーはおいしいわぁ〜」などと言っているのだから人間とは勝手な生き物だ。